税金取立て・税務調査の強化:国税通則法「改正」を許すな! 弁護士/岩佐 英夫

 大震災の復興財源をどう捻出するかが大問題となってきますが、同時に注意すべきは国税通則法「改正」問題です。民主党は「納税者権利憲章の制定」とのふれこみで国税通則法「改正」案を国会に出しています。しかし欧米諸国の「納税者権利憲章」からは程遠く、2002年に共産党・社民党・民主党の有志議員で国会に共同提出した法案から大きく後退しています。
「改正」案の問題点としては、
 (1)納税者権利憲章の基本理念である「納税者の誠実性を信頼する原則」が全くうたわれていない。
 (2)任意調査であるべき税務調査において、従来の質問・検査に加え、帳簿書類等の「提示・提出」、さらに「留置」(税務署への持帰り)の権限まで新設し、拒否すると罰則がある。
 (3)事前通知の規定を一応設置したものの、調査の「前日まででよい」という非常識な内容であり、「調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合」は不要という安易な例外を認めている。事前通知書に調査対象税目を記載することになっているが、実際には調査官の現場での判断で他の税目に調査を広げる抜け道を認めている。
 (4)立会権は勿論、調査理由開示を明記した規定もない。
 (5)納税者にとって深刻な、取引先への「反面調査」を何らの限定なしに認めている。「反面調査は客観的にみてやむを得ないと認められる場合」に限るとした国税庁の「税務運営方針」(1976年)からも大きく後退している。
等があげられます。
 これでは「納税者権利憲章」どころか、むしろ大増税を想定した徴税体制の強化と言わざるをえません。


(2011年6月)

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