教育委員会制度「改革」の危険性 弁護士/杉山 潔志

 安倍政権は、「無責任で機能不全、民意も反映していない」などと教育委員会を攻撃してきましたが、教育委員会制度「改革」を内容とする地方教育行政法の「改正」法案を今国会に提出する予定です。伝えられる「改正」案は、(1)教育長を自治体の首長が任命する、(2)自治体の首長に教育行政の"大綱"を定める権限を与える、(3)自治体の首長が主宰する総合教育会議を設置して教育委員会に対し緊急時の要求を行うこととするなどを主な内容としています。
 もともと、教育委員会は、戦前の国家による教育統制を反省し、日本国憲法と(旧)教育基本法に則った教育を実現するために全国の自治体に設けられ、教育委員の公選制によって民主的基盤が確保されました。
 しかし、その後、首長による教育委員任命制の導入(1956年)など教育に対する国家統制が強化され、第1次安倍内閣は、教育基本法に、愛国心教育、国や自治体による教育振興基本計画の策定などを盛り込む「改正」をしました。
 今回の地方教育行政法の「改正」は、グローバル競争を勝ち抜き、格差社会の中でも不満を言わず規律を重視する国民づくりを狙ったものですが、愛知県犬山市の全国学力テストへの不参加の経験や国による公民教科書への変更強要に対する沖縄県竹富町の抵抗も「改正」の契機と思われます。
 教育の国家統制と特定の考え方を教育内容に持ち込んで強制することに途を開くような「改革」には反対せざるを得ません。


(2014年6月)

戻る

home