えっ、話し合うだけで処罰されるの?
  〜共謀罪って何ですか?〜
弁護士/清洲 真理

 何をしたら犯罪が成立するのか、刑法等で明確に決められています。例えば「人を殺したら殺人罪」。分かりやすいですね。犯罪が明確に決められ、自分たちの生活感覚とも一致していることで、私たちは、自分の行動が犯罪になってしまわないよう気を付けながらも、市民として自由に生きることができます。
 しかし、最近「共謀罪」を新たに作ろうと、国会に法案が提出される動きがあります。臨時国会では見送られましたが、次の通常国会には提出を目指すとされています。
 「共謀罪」とは、簡単に言うと、実際に犯罪行為をしなくても、人と話し合って合意しただけで、犯罪が成立するというものです。対象となる犯罪は600以上(!)、窃盗、傷害、建造物損壊、道路交通法違反、公職選挙法違反など、範囲も内容も本当に様々です。
 話し合うだけで処罰…「えっ?」と思いませんか。友人と冗談で話し合った内容を理由に、逮捕されるかもしれません。あるいは、市民団体が政府の方針に反対する運動の中で話し合った内容を理由に、逮捕されるかもしれません。これでは、民主主義社会で生きる私たち市民であっても、自由な行動ができなくなるでしょう。
 政府は日弁連など各方面からの批判を受けて、今年8月、テロ対策の必要性を強調した上で「限定」を加えたとする新法案を発表しました。しかし、共謀を処罰するという本質は変わっていません。また、政府の「限定」も、恣意的な解釈でいくらでも拡大されるおそれがあります。
 犯罪は、具体的な行為がなければ成立しないというのが、日本の刑法の基本原則です。人のコミュニケーション、ひいては心の中まで処罰しかねず、市民の自由を縛る共謀罪法案に断固反対します。


(2016年11月)

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