校長先生の自殺、基金支部で公務災害認定される 弁護士/中尾 誠

 舞鶴市の中学校の校長先生(保理江さん)が、校内で連続して発生した盗難、不明金事件の処理の中で、教育委員会、警察、保護者などの対応に追われ、盗難事件発覚時から4ケ月後の2000年3月に自殺した公務災害事案について、地方公務員災害補償基金京都府支部において、2006年9月に「公務上の災害」であると認定されました。
 奥さんの「夫の責任はどうであったか。名誉回復はどのようにすればよいか。」という思いを出発点にして、手探りで準備を進めました。
 当該中学校の教組の先生の協力により一般教職員から見た時の動きが、また、情報公開などにより校長先生と教育委員会や警察とのやりとりの内容などが、それぞれ明らかになったことにより、保理江さんの置かれていた大変な状況及び加重な職務の様子を具体的に示すことが出来ました。また、決定的だったのは、協力いただいた医師の丁寧な「自殺に関する精神医学的見解」です。多くの点が認定通知書の認定理由の中にそのまま取り入れられています。意見書を作成するにあたって、奥さんからの聞き取りもしていただき、それ自体が、自殺した遺族に対するケアーとなりました。
 基金支部の段階で公務上と認定され、本当によかったと思っています。「ありのままの事を知りたいわたしの心情が受け止められていると思いました」との奥さんの認定理由に対する感想がすべてです。
 なお、担当は、杉山、佐武、中尾です。
(2006年5月)

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