「内定取消!!」 弁護士/中村 直美

 高校や大学を卒業して新卒で会社に就職する場合には、在学中に「採用内定」を得るのが一般的です。
 Aさんは、大学4年生の夏、念願だったG社から内定を受け、秋には他の内定者らとともに内定式に出席しました。翌年4月に始まる職業生活に心躍る思いでしたが、内定式以降、G社から連絡がなくなりました。そして、12月になって突然、経営悪化を理由にグループ会社である別会社への就職を打診されたのです。Aさんはこれを断りましたが、翌年2月ころになると「Aさんの方からG社の内定を辞退した」とされてしまったのです。そして、G社から十分な説明も連絡もないまま、入社式が予定されていた4月が経過しました。このようなG社の対応は、実質的に見れば内定取消にほかなりません。Aさんは「内定取消」によりG社に入社できなかっただけでなく、「新卒」として職業生活をスタートする機会も奪われたのです。
 世界的不況の影響で、経営悪化を理由とする内定取消や、内定辞退の打診、入社時期の繰下げなど、新卒者の職業生活の第一歩が阻害される事態が生じています。しかし、これらは内定者らに大きな打撃と失望を与える重大な問題であり、事業者の一方的な都合による内定取消等は許されるものではありません。そのため、厚労省は「最大限の経営努力により内定取消を回避すべきこと」「やむを得ず内定取消をする場合でも、誠意ある対応をすること」との指針を事業者に対して示しています。
 Aさんは「新卒入社の機会」は失いましたが、労働審判によりG社との関係では金銭解決することができました。内定取消等に対しては、事業者との交渉、労働審判、訴訟等により労働者としての権利を主張することが可能です。泣き寝入りをせずに、ぜひ弁護士に相談してください。


(2009年11月)

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