裁判員裁判 弁護士/中村 直美

 本年9月に裁判員裁判事件の弁護人を担当しました。
 裁判員裁判は、3名の裁判官と6名の裁判員が評議し、有罪か無罪か、有罪である場合にどのような刑に処するかを審理するものです。
 事件を審理する裁判員は、公判初日の午前中に選任されます。
 当日は呼び出された数十人の裁判員候補者が裁判所の一室に集合し、まず簡単な説明を受けます。そして、事件を担当する裁判官・検察官・弁護人が紹介されました。このときは、裁判員候補者の皆さんの緊張感がビリビリと伝わってきました。中には「選ばれたくない!!」という心の叫びが聞こえてきそうな候補者も。その後、裁判員として公判を担当することに支障はないか等の質問がされ、法定の辞退事由のある候補者を裁判所が確認します。そして候補者全員の見守る中、パソコンにより機械的に裁判員が選ばれるのです。選任手続自体はあっけないものでしたが、裁判員に選ばれた方々にとっては、その日の午後から1週間にわたる公判が始まるという重々しい一日だったと思います。
 裁判員裁判は、一般市民が刑事裁判の審理に加わることにより、市民感覚を反映し、「自白偏重」や「有罪推定」など旧来の刑事裁判の問題点が改善されることが期待されると言われています。しかし、裁判員には守秘義務が課せられており、評議の内容は外部に明らかにされません。本件被告人もこの事件がなければ、平穏に暮らす一市民でした。その被告人の公判供述を裁判員がどのように受け止めたのか、裁判員の市民感覚が審理にどう反映されたのかを是非知りたいところです。


(2010年11月)

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