山川事件−京都市交通局「昇任」不当労働行為事件
   −最高裁で逆転勝訴−
弁護士/中尾 誠

 京都市交通局が山川明仁さんに対して、本人の意思に反して係員から係長に昇任させ組合員・役員資格を剥奪したのは、不当労働行為であるとして、救済申立をしていた事件について、この度(7月12日)、最高裁で山川さんの主張を一部認める逆転判決が出されました。
 地労委、地裁、高裁とも、不当労働行為の「支配介入にかかる申立て資格については個人に申立て適格はない」とし、その申立を門前払い(却下)しましたが、最高裁は、「不当労働行為救済制度は、労働者の団結権及び団体行動権の保障を目的とし(たものであり)この趣旨に照らせば、(支配介入について)救済申立をするについては、当該労働組合のほか、その組合員も申立て適格を有すると解するのが相当である」とし、「原判決のうち本件却下部分にかかる部分は破棄を免れない。」としました。
 最高裁判決は、支配介入についての個人申立て資格を認めたものですが、地労委命令が却下であったことから、申立て資格を認めた後の問題(実質として「支配介入」に該当するかどうか)については判断していません。
 この判決を受けて、地労委は改めて命令を出さなければならず、本件は、再度、京都地労委において審理をすることになり、8月23日にその第1回審理が開かれました。本件異動が支配介入に該当するかについての判断を求める取組みが、仕切り直しとして、再び、労働委員会で行われることになったわけです。
(2004年10月)

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