夜間管理業務の未払賃金請求 弁護士/清洲 真理

 教習所の寮で管理人として働いていたAさん。Aさんはその寮の唯一の管理人として、宿泊する教習生の安全確保・秩序維持のためにほぼ毎日、夕方から翌朝まで管理人室に常駐し、たとえ深夜であっても、宿泊者同士のトラブルなどの突発的な出来事への対処や、宿泊者の要望への対応をしてきました。
 これに対し、会社は深夜の時間帯を休憩時間として扱い、賃金を支払っていませんでした。また、時間外手当、休日手当など、法定時間外労働の割増賃金も一部支払っていませんでした。
 しかし、たとえ仮眠時間や待機時間であっても、労働者が使用者の指揮命令下にあると評価できる場合には、労基法上の労働時間となり、賃金が発生します。Aさんの場合、寮の規模や実際に行ってきた業務内容から、深夜の時間帯も使用者の指揮命令下にあることは明白でした。
 そのため、Aさんは未払賃金の支払を求め、会社に対し労働審判を申し立てました。当初、会社は、深夜の休憩時間中はAさんに対応義務がなかったとして支払を拒否し、争っていましたが、Aさんが毎日欠かさず記入・提出していた業務日誌には、深夜も関係なく宿泊者のために対応してきたAさんの業務実態が表れていました。これが裁判官の心証に影響を与えたと考えられ、200万円の未払賃金を支払うことで調停が成立しました。
 未払賃金が支払われたことは成果でしたが、会社に対する賃金支払請求権の時効が2年と短いこともあり、2年分の支払に限られた点は残念です。未払賃金を請求したい方は、時効で悔しい思いをすることのないよう、早めに対策を考えるようにしましょう。


(2014年6月)

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