定年後再雇用を口実にした不当労働行為 弁護士/毛利 崇

  1.  Aさんは、某ホテルにおいて営業部長、宿泊部長などを歴任して、売上げ目標を達成するなどの成果をあげ勤務先に貢献してきました。一方で、労働条件の不利益変更をきっかけに労働組合を結成し、組合の分会長としても結果を残してきました。
  2.  そのAさんが定年退職を迎え、高年齢者雇用安定法(高年法)に基づく再雇用をするにあたり、ホテルは、Aさんが成果を上げてきた部門とは全く関係なく、勤務場所もホテルとは離れた場所に位置するパーキング係員として再雇用をするという不当な取扱いをしたのです。
  3.  確かに、高年法には、再雇用後の労働条件に関する規制はありません。しかし、同法は、第3条(基本的理念)において「高年齢者等は、…その意欲及び能力に応じ、雇用の機会その他の多様な就業の機会が確保され…るように配慮されるものとする。」と定めています。労働者のキャリアを無視した再雇用は、高年法の趣旨に反していると考えられるのです。
  4.  さらに、Aさん以外の再雇用者は定年前と同様の業務をしているにも関わらず、Aさんのみが不当な扱いを受けていることなどを考えると、ホテルの対応はAさんが労働組合員として成果を勝ち取ってきたことに対する報復=不当労働行為とも考えられるのです。
  5.  Aさんは、このような扱いに対し、労働委員会に救済申立をして闘っておられます。本件は、定年後再雇用に際して使用者の裁量がどこまで許されるのかという多くの労働者が関わる問題であり、そのリーディングケースになる闘いになると考えています。


(2014年6月)

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