被害者の尊厳を傷つけるセクハラ 〜許さない環境づくりを 弁護士/井関 佳法

 職場でのセクハラ被害に対する損害賠償請求の裁判を担当しました。原告は体調を崩し、会社にセクハラ被害を相談しましたが、会社の対応は十分ではなく退職のやむなきに至りました。被害は甚大でした。加害者は上司でしたが、責任を認めようとしませんでした。セクハラ訴訟の立証は容易でないため、原告は迷いましたが、提訴に踏み切りました。関係者が証人として協力してくれ、加害上司は最後まで責任は認めようとはしませんでしたが、一部行為を認めたため、セクハラを認める判決を勝取ることができました。
 セクハラは、被害者の尊厳を傷つけるものであり、許されないものです。では、どうすればなくしていけるでしょうか。
 私たち一人一人がセクハラをしない、見過ごさない意識を持つことが求められます。それは容易ではありませんが、職場や学校等でセクハラを許さないシステムを作ることは難しくありません。事業者の行なうべきことについての指針が厚生労働省から示されています。セクハラへの厳しい姿勢を明確に示し、安心して相談できる窓口をもうけ、そして相談・案件があれば、的確十分に対応することです。これは職場に限らず、全ての組織に求められることだと思います。構成メンバーの尊厳を守り、職場や組織の活動環境を守ってこそ、組織の真の発展にもつながります。
 「セクハラを受けたかな」と思った時には、職場等の相談窓口、あるいは弁護士に是非相談下さい。


(2015年4月)

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