非常勤職員の雇止事件でバックペイ全額相当の支払を命じる勝利審判! 弁護士/毛利 崇

1 Aさんは、大学院を卒業後、母校に契約期間1年の非常勤の職員として雇用をされました。雇用の際には職務に必要な資格を1年間勤務しながら母校の講義を受けて取得することを勧められ、実際にAさんは、授業料を払って母校の講義を受けて資格を取得しました。
2 Aさんが勤務した職場では不祥事がありベテランの職員が十分に機能出来ない状況があったため、ベテラン職員が担当していた仕事を引き継ぐなど、Aさんは新人であるにも関わらず重要な職務を担当し、また、更新を前提に翌年度にまたがる業務も担当していました。Aさんとしては、資格取得や仕事の任され方などから、当然、翌年度もその職場で働けると思っていました。
3 翌年の2月、職場の所長から契約更新の打診があり、Aさんは快諾をしました。しかし、その日の夜になって、所長と事務局長から相次いで、契約更新の話を白紙に戻して欲しいとの要請がありました。Aさんは、手続の関係などで白紙に戻すのみで契約を打ち切られるとは夢にも思っていませんでしたが、結局、3月になって契約を更新しないとの通告を受けました。
4 納得できないAさんは、大学に対して雇止めの理由の開示を求めましたが、Aさんに即戦力としての能力がないとか、担当もしていない業務で失敗をしたなどという、全く不合理な理由が開示されたのみでした。
5 Aさんの申し立てた労働審判手続で、裁判所は、Aさんの主張を全面的に認めて、雇止めから解決に至るまでの賃金(バックペイ)に相当する300万円の支払いを命じる審判を下し、大学側もこれを受け入れて事件は解決しました。非正規労働者が雇止め無効を求めて労働審判を起こしても、金銭解決の水準が賃金3ヶ月分程度と非常に低い水準に留まることが多いのですが、本件では、雇止め無効を前提にほぼ1年分の賃金に相当する金銭の支払いを命じた点で、価値のある労働審判と言えると思います。


(2016年6月)

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