醍醐寺バッファゾーンの乱開発を阻止! 弁護士/岩佐 英夫

 醍醐寺は1994年世界文化遺産に登録され、世界各地から観光客が訪れる名刹です。
 日本も批准した世界遺産条約では、世界文化遺産を周囲の景観と一体に保護するために緩衝地帯(バッファゾーン)を設けることになっています。ところが、2006年頃から、醍醐寺のすぐ北東のバッファゾーン内の山林2.1haで違法開発が開始されました。しかるに京都市は、この違法開発を止めるどころか、逆に「市街化区域」に編入して追認するという驚くべき対応をしたのです。
 また、この地域はバッファゾーンとして保護すべきことは勿論、大雨等の際には、土砂崩れを起こし下流に水害を起こす危険性の高い地域なのです。1996年には、この場所の少し北の斜面で老人ホーム建設問題が起こり、地元住民の反対で阻止した歴史もあります。醍醐寺の問題でも、「醍醐歴史さんぽの会」等の市民団体が景観保全や災害防止の観点から学習・抗議・宣伝・集会等の運動を展開し、私もサポートを行ってきました。
 その後、バッファゾーン問題が全国的に関心を呼ぶようになり、京都弁護士会に調査依頼の申立を行い、2014年5月、同会はバッファゾーン内の開発を厳しく規制すべきとの意見書を発表しました。そして、こうした粘り強い運動により、本年6月に京都市も遂に同乱開発地域を市街化調整区域に戻す諮問を都市計画審議会に提出、解決の展望が大きく開けました。開発跡地の緑の回復が残された課題です。


(2016年11月)

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