違法配転、謝罪を得て元職復帰の和解成立! 弁護士/井関 佳法

 藤田久美子さんは、比叡タクシー株式会社の簿記や経理、社会保険事務処理に通じた、職場での評価も高い有能な事務職労働者でした。
 ところが、藤田さんが、同じ職場の労働組合の活動家である運転手の夫と結婚した途端、会社は掌を返したように冷たくなり、退職を迫るいろいろないやがらせがあり、2007年2月には、会社の秘密を組合に漏らしたことを理由に、総務課から顧客推進室への配転命令を受けるに至りました。顧客推進室は、これまで専任の職員も配置されてこなかった閑職で、主な仕事はチラシのポスティングでした。
 この配転は退職しない藤田さんに対するいやがらせであり、理由とされた秘密漏洩は事実無根でした。藤田さんは、職場で働いていくためにも、汚名を晴らすためにも闘わざるを得ませんでした。
 しかし、私が代理人となって行った交渉も会社が聞く耳を持ってくれず一回で決裂、法的手続きに進むこととなりました。その際、本訴提起も検討しましたが、早期解決の可能性にかけて、労働審判を申し立ててみることとしました。
 労働審判では、会社側から申立書にかみ合った答弁が提出されず、1回目と2回目の期日は、審判官が主に会社側から事情を聴取する形で進められました。しかし、結局秘密漏洩等配転理由について具体的な説明がなされず、申立認容の心証が取られました。
 この段階で、心証も一定開示されての和解の話がなされましたが決裂、配転先の就労義務なきこと、審判内容の会社掲示板への1週間掲示を命ずる審判が言い渡されました。
 これに対して、会社は異議を提出し、訴訟へ移行。この段階で、担当裁判官交代、会社側代理人が変りました。しかし、訴訟となっても会社は新たな主張や証拠をほとんど提出できず、2月25日に尋問期日が予定され、私たちはそれに向けて準備を進めていました。
 ところが突然、他のタクシー会社の社長が比叡タクシーの社長も兼ねることとなり、事態が急変、新社長から解決の打診があり、急転勝利和解となりました。
 和解によって、藤田さんは元の総務課勤務に戻れただけでなく、「被告は、原告に対し『会社のことを組合に漏らした』『会社の秘密事項を無断で組合に漏らした』等と発言・記載したことを撤回し、謝罪する」という条項も盛り込まれ、藤田さんは念願の汚名を晴らすことも出来ました。藤田さんは、元の職場で元気に仕事に打込んでいます。


(配転命令から和解成立までの経緯)
2007年

1月20日付 配転命令(3月21日から総務課から顧客推進室へ)

2月7日 弁護士、会社と交渉、決裂

3月5日付 労働審判申立

4月26日 第1回審判期日

5月24日 第2回審判期日

6月14日 第3回審判期日、審判言渡し

6月20日 会社、異議申立

7月9日付 訴状に変る準備書面提出

8月8日 第1回弁論期日

9月12日 第2回弁論期日

10月17日 弁論準備期日

11月2日 和解期日

11月21日 弁論準備期日

12月19日 第3回弁論期日
2008年

2月25日 尋問期日

上記尋問期日が取り消され2月15日 和解期日、和解成立
(2008年2月)

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