京都南法律事務所
早わかり法律相談のトップへ
早わかり法律相談 交通事故

3.死亡事故について

 死亡事故については、負傷、治療、後遺障害認定という流れとは異なった面があります。最大の違いは、被害者自身がいなくなり、相続人が請求人となるという点です。また、若年者の逸失利益、男女間の格差、相続人間の協議が整わない場合など特有の問題もあります。
 請求項目は、[1]死亡による逸失利益 [2]死亡の慰謝料 [3]葬儀費用です。[4]の死亡の慰謝料については、被害者が一家の支柱であったか、そうでなかったか、高齢者かなどにより区別されています。また、基準となる金額が、強制保険(自賠責保険)と任意保険(の提示額)と裁判で認められる額に大きな違いがあります。[3]の葬儀費用については、葬儀そのものではなく、一定基準額の範囲内です。
 [1]の死亡による逸失利益の点も含めて、慎重に対処するほうがよいと思いますので、早い段階で弁護士に相談をしてください。

●死亡の過失利益

 基本の算定方法は次のとおりです。

  基礎収入額×(1−生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

 基礎収入額については、現に働いていた人についてはその金額が基本となります。また、年金をもらっていた人については、年金の種類によりますが、その年金額も算定されます。
 幼児など年少者・学生の逸失利益については、裁判所での統一基準がありますので、それに基づくことになります。しかし、その場合、男性と女性とで算定の基準となる平均賃金が異なりますので、結局、請求できる金額も大きく違ってきます。亡くなって以降も「男女差別」(男女格差)が続くわけです。
 逸失利益(死亡に限らず後遺障害の場合もそうですが)については、将来の分を請求するので、その分の中間利息(2020年3月31日までに発生した事故の場合は年5%、同年4月1日以降に発生した事故の場合は年3%)が差し引かれることになります。現在ライプニッツ係数が採用されています。

相続人間で協議できない場合、行方不明者がいる場合

 保険会社(任意保険)は、相続人全員でなければ示談に応じないということを言ってくることが多いです。しかし、相続人間で協議ができない場合や相続人の中で行方不明者がいる場合があります。そのような場合、手っ取り早いのは、一致する相続人だけで持分に基づいて裁判をすることです。また、強制保険(自賠責保険)分については、各相続人の持分について請求をすることが可能です。
 行方不明者がいる場合は、その人について不在者財産管理人を選任することによって、加害者に対する請求はできますので、他に解決すべき相続問題がある場合は、その手続きも検討ください。

←前へ次へ→


home