相続 |
遺言がある場合 遺言があれば、遺言に従って(被相続人の意向に従って)遺産を分けることになります。 相続をめぐる将来の紛争が予想される場合には、専門家に相談して、できるだけ早めに遺言書を作成することをおすすめします。 なお、遺言書は、いつでも遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができます。 遺言の方式 遺言は、民法で定められた方式(7種類)に従って作成された文書のみが法的に有効です。 身近な方式としては、[1]自筆証書遺言と[2]公正証書遺言があります。 [1]は、遺言者が遺言の全文と日付、氏名を自筆で書いてこれに押印するものです。なお、財産目録の表示については、自書しなくてもよくなりました(2019年1月から)。 [2]は、公証人役場に行って、あるいは公証人に来てもらって公証人に作成してもらう遺言です。2人以上の証人の立会いが必要です。作成した原本は公証人役場に保管されます。 [1]は費用もかからず簡単ですが、自筆かどうかなど争いが生じやすく、紛失のおそれもあります。検認手続も必要です。なお、自筆証書遺言を法務局に保管してもらった場合は、検認手続きは不要です(2020年7月から)。 [2]は一定の費用がかかりますが、安全で確実な方式です。証人は弁護士などへの依頼も可能です。 遺留分 生前には自分の財産を自由に処分できますが、自分の死んだ後の遺産についても本人の意思が第一に尊重されることになっています。しかし他方で、生前の贈与、遺言による遺贈があっても、兄弟姉妹以外の相続人には、一定の範囲で権利を認めるという趣旨で、遺留分権減殺請求権が認められています。権利の割合は、法定相続分の半分(直系尊属だけの場合は法定相続分の3分の1)とされています。 その行使は、減殺請求すべき遺贈などがあったことを知ってから1年以内に、遺言で遺産を遺贈された者等に対して、内容証明郵便で行います。 遺言があって、法定相続分の半分以下しかももらえなかった場合には、遺留分減殺請求権の行使を検討することが必要です。 なお、相続開始前に家庭裁判所の許可を得て、遺留分を放棄する手続きをとることは可能です。 執 行 遺言書に基づいて受遺者が遺産を取得します。 遺産が現金や物(家財道具や貴金属など)の場合は、その物の引渡しを受ければ終わります。不動産の場合は、引渡しを受け、さらに登記しなければなりません。遺言書で、遺贈する不動産を、登記簿謄本どおりに特定されている場合は、遺言書で登記できることに問題はありません。 預貯金の場合は、金融機関により取り扱いが違います。 なお、遺言書で遺言執行者が指定されていれば遺言執行者が諸手続きをすることになります。 指定がない場合は、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることができます。紛争予防のためには、遺言の際に遺言執行者を指定しておかれることをおすすめします。
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