コラム 杉山 潔志 
国を私物化する安倍政権

 森友学園問題をめぐるストレスでうつ病を発症して自殺した財務省近畿財務局職員・赤木俊夫さん(当時54歳)の妻が、国と佐川宣寿元財務省理財局長に対し損害賠償請求訴訟を提起し、赤木俊夫さんの遺書と手記を公表しました。手記には、佐川元局長が決裁文書から安倍首相の妻昭恵氏に関する記載の削除を指示したことが記されています。
 安倍政権は、「桜を見る会」では、開示を求められた当日にシュレッダーで参加者名簿を裁断廃棄し、そのデータ復元も拒否しています。
 事実の隠蔽は、権力者の常套手段のようです。明治政府は江華島事件でも朝鮮王宮の武力制圧に関しても事実を隠蔽して虚偽事実を公表しました(中塚明「日本人の明治観をただす」高文研)。アジア・太平洋 戦争の敗戦時には、加害事実の隠蔽や戦争責任を免れるために公文書の焼却・廃棄が行われました。
 このような歴史の反省に立って、民主主義を支える国民共有の知的資源として公文書を位置付け、国民の利用に供するため、その管理、保存、利用に関する公文書等管理法が制定されました。
 しかし、森友、加計、PKO派遣自衛隊日報、「桜を見る会」などの問題の際に繰り返された公文書の改ざん、隠蔽、廃棄は、佐川元理財局長の国税庁長官への栄転や共謀罪法の成立などに奔走した黒川検事長の定年延長問題などと併せ 考えると、安倍政権による国家の私物化行為にほかなりません。
 国民主権の政治を実現するためには、主権者である国民自身が権力者の権力の行使のあり方を監視し、意見を述べ、行動しなければなりません。

2020年5月