メンバーの素顔紹介 杉山潔志

憲法尊重擁護義務と自由・権利保持義務


 先般、ある憲法学習会で、憲法クイズを行った。その中で、「憲法尊重擁護義務(第99条)を課せられていない者は誰か?天皇、国務大臣、国会議員、裁判官、公務員、国民の中から正解を選べ」という問題を出した。天皇という人もいたが、正解は国民である。

 近代憲法は、国民に天賦の人権があることを認めさせて、絶対王政の専制政治に縛りをかけたり、君主制を打倒して共和制の国家を成立させる国民のたたかいの中で作られたものだ。権力を行使によって国民の人権侵害が生じないように憲法尊重擁護義務を定めたのであるから、国民はこの義務の名宛人にはされていないのだ。

 では、国民は憲法を護らなくてもよいかというと、そうではない。憲法は、日本国憲法が保障する自由や権利は国民の不断の努力によって保持しなければならないと定めている(第12条)。このような努力がなければ、憲法が謳っている自由や権利は“絵に描いた餅”になってしまうだろう。

 今、憲法9条の「改正」などの改憲論議が盛んである。その中には、国民にも憲法擁護義務を課そうとの改憲案もある。このような時にこそ、憲法は、国民がこの憲法を保持するために行動するよう求めているのではなかろうか。 


(2005年4月)


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