京都南法律事務所 新法・改正法の紹介

親権停止制度が成立(民法など改正)
(弁護士 杉山 潔志)
 児童虐待が深刻な社会問題となっています。2009年度の児童相談所への相談件数は、10年前の約4倍にあたる4万4211件に達し、悲惨な児童虐待のニュースがマスコミに取り上げられることも多くなっています。
 児童虐待を防止するため、親権を「最長2年間停止できる」ことを柱とした民法や児童福祉法の改正案が、2011年5月27日、国会で成立しました。
 親権は、未成年の子どもを養育するための親の権利の総称で、親は子のために適正に親権を行使する義務があります。民法第818条1項は、成年に達しない子は、父母の親権に服すると規定しており、子の監護及び教育の権利及び義務、居所指定権、懲戒権、職業許可権、子の財産管理権及び法律行為の代表が親権の内容として定められています。親権の濫用や著しい不行跡があるときは、子の親族、検察官、児童相談所の所長の請求によって家庭裁判所が親権喪失を宣告することができると定められています。
 しかし、親権喪失制度には期限の定めがないため、親子関係の断絶につながりかねないとの懸念があり、必ずしも虐待防止の有効な手段となりえないとの指摘がなされていました。このような事情を背景に、最長2年間の親権停止制度が創設され、子ども本人や未成年後見人も親権停止の請求権者に加えられました。また、懲戒権については、監護・教育に必要な範囲と限定が明確化され、懲戒場へ入れるとの条文は削除されました。さらに、児童擁護施設長は、親権者の意に反しても必要な対応がとれるようになりました。
 これらの改正法は、平成24年4月から施行の予定ですが、虐待から子どもを守るためには児童福祉司の増員、親権制限や強制入所を判断する家庭裁判所や児童相談所の体制の強化、親への援助などの措置が必要です。
情報更新:2011年11月
 
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