京都南法律事務所 法律相談Q&A

離婚に際して決めることは

 友人夫婦が別居中です。
 離婚のこと,子どものことなど相談されています。夫婦ともによく知っており,離婚はやむをえないとしても,円満に解決できるようにと願っています。
 どのような助言をしたらよいでしょうか。



 離婚に際して,検討すべき点は,次のとおりです。

(1) 離婚
(2) 子どもの親権者
(3) 養育費
(4) 子どもとの面会交流の方法等
(5) 財産分与や慰謝料など金銭面のこと
(6) 離婚時の年金分割

 それぞれについて,説明します。

(1) 離婚は,夫婦間での合意ができなければ,相手方住所地の家庭裁判所に調停を申立てます。それでも合意できず,一方がどうしても離婚を望めば,その者が夫婦どちらかの住所地で離婚裁判を起こす必要があります。夫婦関係の破綻が認定されれば,裁判離婚となります。しかし,破綻について有責の者からの離婚請求は,別居期間や未成熟子の存在,財産給付の内容など総合判断し,認められない場合もあります。

(2) 離婚後は単独親権ですので,親権者が決まらないと離婚はできません。親権者は,子どもの福祉を考えて決める必要があります。双方の意見が一致しない場合は,離婚調停や裁判の際に,家庭裁判所の調査官が調査し,報告書を出します。合意できない場合は,最終的には離婚裁判で裁判官が決定することになります。

(3) 裁判所で養育費の算定表が作成されており,インターネットでも入手可能です。裁判所では同表の基準により決めることが多いです。期間は子どもが20歳になる月までが多いですが,22歳に達した後の3月まで,と決める場合もあります。合意があれば,進学時の入学費用の負担等を決める場合もあります。

(4) 親子関係は,両親の離婚によっても切断されるものではなく,扶養義務,相続関係もあります。しかし,従前は,夫婦の別れは,事実上親子の別れになっていたケースが多かったようです。最近は,子どもの福祉のために,親権者でない親との定期的な面会交流を認めることがほとんどです。両親の居住地や仕事,子どもの体調や成長発達の度合いなど考慮し,方法や回数など柔軟な対応が求められます。監護している親側の拒否感が強いケースでも,家庭裁判所で調停をすると,裁判所作成のDVDを視聴するなど親教育の機会があり,双方の面会交流の心構えなどを知ることができます。また,家庭裁判所の待合室には,両親が離婚した子ども向けの絵本もあります。なお,離婚前の別居中でも,面会交流の調停申立ては可能です。

(5) 結婚中に形成した財産は夫婦共有財産であり,原則として各2分の1の持分があるとされます。自宅や預貯金のみならず,生命保険や子どもの学資保険も算定対象になります。債務は差し引き計算されます。なお,マイナスの財産分与は裁判では認められていません。慰謝料は,夫婦関係の破綻について一方に明らかな有責性がある場合に認められます。しかし,不貞行為や暴力行為などがあっても判決の慰謝料基準はそれほど多額ではありません。一方が離婚を拒否し,他方が離婚を急いでいるケースでは,離婚を急いでいる側が財産分与や慰謝料金額で大きな譲歩をすることがあります。財産分与は,離婚後は2年の消滅時効があります。慰謝料の消滅時効は離婚から3年です。

(6) 婚姻期間中の厚生年金・共済年金は,その標準報酬について,夫婦合算し分割することができます。原則は2分の1とされています。平成20年4月1日以降は,第3号被保険者(被用者保険の被扶養者)は,当然分割(2分の1)がされています。それ以外の部分は,合意・調停・審判・裁判で分割できます。なお,離婚から2年以内の手続が必要です。合意等による分割の場合は,社会保険事務所・共済組合等で「年金分割のための情報通知書」という書面を予め取得しておくことが必要です。当事者間の合意は公正証書にする必要があります。詳しくは社会保険事務所等にお問い合わせください。

 離婚の際には,子どもの親権者を決めれば,離婚は可能です。
 しかし,できれば,後日に紛争を残さないために,上記のすべてについて,決めておくことをおすすめします。請求しないと決めた場合は,その旨も決めておくのです。

 当事者間でこれだけのことを確実に決めることは,なかなか困難な場合も多いです。
 個別具体的なケースにより解決方法や内容は異なりますので,当事者の方は,弁護士による法律相談を利用された方がよいと思います。

 家庭裁判所の離婚調停は,印紙代1200円と約1000円の切手納付で申立て可能です。(1)〜(6)のすべてについて,調停で決めることができますし,確定判決と同じ効力があり,万一約束が守られない場合には強制執行などの手続が可能です。家庭裁判所には「履行勧告」という制度もあります。調停は,申立人と相手方は別々の待合室です。気軽に利用されたらよいと思います。
 各弁護士会や家庭問題情報センター(FPIC)などの機関のADR(裁判外紛争解決手続)制度もあります。
 
 離婚するまでの間は,夫婦間の扶養義務があります。扶養義務者から権利者に対し,生活費の支払いがない場合は,権利者は婚姻費用分担請求の調停ができます(印紙代1200円)。婚姻費用の金額について,裁判所で算定表を作成しています。調停で合意できない場合は,審判で決定されます。なお,婚姻費用分担の審判は,原則として調停申立て時からとなります。この調停の申立ては,離婚調停申立てと同時にすることができます。

(弁護士 吉田眞佐子)

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