京都南法律事務所 法律相談Q&A

債権の消滅時効にご用心!

 5年前に、友人の経営する株式会社に500万円貸しましたが、返してくれません。借用証では1年後に全額返す、となっています。本件の消滅時効は何年ですか。


要注意!
短期消滅時効の債権いろいろ
飲食代金:1年
商品の売買代金:2年
請負工事代金:3年
賃金:2年
退職金:5年
 借用証に書かれた返済期限から5年です。時効制度の存在理由は(1)社会の法律関係の安定(2)証拠散逸の救済(3)権利の上に眠る者は保護しない等が挙げられています。原則として「債権は10年間これを行わざるによりて消滅」します(民法167条)。しかし、特別の債権についてはもっと短期の消滅時効期間が定められています。商行為により生じた債権(商事債権)の消滅時効期間は原則5年間です(商法522条)。株式会社は商人なので商事債権となります。

 時効が心配なので、毎年12月末に請求書を送っていますが。
  消滅時効は「権利行使しうる時」、本件では弁済期から進行します。請求書を送るだけでは消滅時効の進行を止める(中断する)ことができません。時効の中断理由は(1)裁判上の請求(2)差押、仮差押、仮処分(3)承認の3つです。債務者が一部でも支払った場合や債権の存在を認めた場合は(3)にあたります。債務者が(3)の行為をしない場合には、(1)(2)の手続つまり裁判所の手続をとる必要があります。裁判所で決まった債権(確定債権)の時効期間はすべて確定してから10年間となります。

 請求書の送付は何の意味もないのですか。
  時効完成前に相手に届き6ヶ月以内に裁判上の手続をすれば「催告」として中断事由となります。内容証明郵便を配達証明付で送付してください。

 消滅時効完成後に債務者がこれに気づかずに債務を認めたり、一部を支払ったらどうなるのですか。
 まず、時効は利益を受けるものが主張(援用)しない限り時効に基づく裁判はできません。また、この場合、債務者は信義則に照らし消滅時効の完成の主張はできない(時効の援用権の喪失)とされています。時効制度は、法律的に複雑な問題がありますので、弁護士へのご相談をお勧めします。

(弁護士 吉田眞佐子)

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