京都南法律事務所 法律相談Q&A

債務整理に関する方法としてはどのようなものがあるでしょうか

 給料が激減したため、住宅ローンの他、銀行のカードローンや消費者金融からの借金を返すことができなくなりました。私は破産するほかないのでしょうか。

 借金を返済することが困難な場合には、裁判所の手続を利用して債務を整理することができます。個人債務者が採りうる方法には、破産のほかにも、個人再生や特定調停という手続があります。それぞれの手続に特徴がありますので、検討が必要です。


 破産はどのような手続なのですか。
 破産とは、多額の借金などにより債務の支払いができなくなった場合に、債務者の財産を換価して、全債権者にその債権額に応じて公平に弁済することを目的とする裁判上の手続です。
 配当すべき財産がほとんどない場合には、破産宣告と同時に手続が終了する「同時廃止」という手続がとられます。
破産手続の終了後に免責決定を得れば、残債務の支払いを免れます。ただし、借金をギャンブルや遊興費に費消していた場合や、詐欺や財産隠しがあった場合など、免責不許可事由に該当する場合には免責を受けることができません。なお、税金や養育費・扶養義務などは、破産手続によっても免責されません。

 破産すると、私の自宅はどうなるのでしょうか。
 破産手続は債務者の財産を換価することが原則ですので、自宅など債務者名義の不動産や、ローンが残っている自家用車などを保有し続けることは困難です。任意売却するか、抵当権がつけられている場合には競売にかけられることになります。

 自宅は私たち家族の思い出がたくさん詰まっているので、手放したくはありません。住宅ローンだけは頑張って支払っていきたいのですが、どうしたらいいのでしょうか。
個人再生の申立てをして、住宅資金特別条項を利用する場合には、住宅ローン以外の債務については減免猶予を受け、住宅ローン債務の支払いを継続して自宅を確保することができます。住宅資金特別条項を利用するためには、個人再生の申立人自身が所有する建物であり、自己の居住のために所有していることなどの要件があります。

 個人再生の手続は破産とどのように違うのですか。
 個人再生とは、債務者が債務の返済をしていくことができなくなるおそれが生じた場合に、債務者の返済負担を軽減し、返済計画を見直す裁判上の手続です。破産の場合には免責決定を受ければ残債務の支払が免除されるのに対して、再生手続では返済負担は軽減されるものの、残債務すべてが免除されるものではありません。
 個人再生手続は、住宅ローン等を除いた一般債務の額が5000万円以下である場合に、原則としてその20%(100万円〜300万円)を3年間で分割弁済する再生計画案を作成し、裁判所の認可を受けます。破産と異なり財産の換価はありませんが、換価した場合の価値総額以上の弁済をすることが必要です。
再生計画に定められた額を分割弁済すれば、その余の債務については免除・免責を受けることができます。
 ただし、住宅資金特別条項によっても、住宅ローンは減免されません。支払期間を延長したり、月々の支払額の見直しをした上で、元利金は当初の契約通り支払うことになります。

 私はサラリーマンですが、給料が少し多い月もあれば極端に少なくなる月もあります。分割弁済をしていく上で不安なのですが、個人再生の手続を利用することができるでしょうか。

 個人再生には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があります。
 「小規模個人再生」は、個人債務者で、将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあり、かつ、負債総額が5000万円以下(担保が付いている債務を除く)である場合が対象となります。また、裁判所が再生計画を認可することに先立ち、債権者による再生計画案の決議を要します。 「給与所得者等再生」は、小規模個人再生を利用できる者のうち、(1)給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者で、(2)その収入額の変動幅が小さいと見込まれる者が対象となります。将来の定期的収入や収入額の変動が小さいことが要件となっているため、収入に変動のある事業者や、パート・アルバイトの場合には、この手続を利用することが困難となります。
 また、給与所得者等再生では、最低でも可処分所得の2年分を弁済しなければならないとされており、最低弁済額要件が加重されています。 さらに、給与所得者等再生は、債権者による再生計画案の決議は不要で、債権者は意見を述べることができるに留まる点も、小規模個人再生と異なります。 小規模個人再生か給与所得者等再生のどちらが適しているかは、あなたの具体的な状況によりますので、弁護士に相談した方がよいでしょう。


 裁判所に再生手続の申立てをする場合には、弁護士に依頼した方がよいのでしょうか。弁護士費用も気になるのですが。

 再生手続は、可処分所得を算出して再生計画を立て、住宅資金特別条項について検討する必要があるので、手続は簡単ではありません。
 京都では、再生の申立代理人として弁護士を依頼しない場合には、再生委員を選出するために予納金等として30数万円を裁判所に収める必要があります。弁護士に依頼した場合には、予納金等は数万円となりますが、別途弁護士費用が必要です。弁護士費用など詳しくは法律事務所にご相談ください。


 破産や再生手続以外に「特定調停」という手続があるそうですが、これはどのような手続なのですか。

 特定調停とは、借金の返済が困難になった場合に、申立てにより、裁判所が借主と貸主、保証人などの利害関係人との話し合いを仲介する調停手続です。裁判所の指導のもとで、返済条件の軽減などを合意し、借主の経済的立ち直りを支援するものです。
 当事者間に合意が成立し、合意の内容が調書に記載されると、裁判上の和解が成立したのと同じ効力を有します。


 特定調停を申し立てても、合意に至らない場合にはどうなるのでしょうか。

 裁判所は調停が成立する見込みが無い場合においても、相当と認める場合には、職権で事件解決のために必要な決定をすることができます。この決定に対し、当事者から異議の申立てがない場合には、合意が成立した時と同様の効力が生じます。
  合意ができず調停が不成立となった場合、又は、裁判所の決定に対し当事者から異議申立があった場合には、従来の債権債務関係がそのまま継続することとなります。


 特定調停は、破産や再生手続と、どう違うのでしょうか。

 特定調停は借金を分割弁済する見込みがある場合に、返済条件を軽減するという点で、再生手続に似ています。再生手続や破産に比べると費用負担も軽く、弁護士に依頼せずに手続をする人も多いようです。迅速で簡便な手続で柔軟な解決が期待できますが、特定調停は債権者や利害関係人との合意により成立するものですので、返済条件を大幅に軽減する変更は困難です。
 個人再生は、最低弁済要件が法律で定められているので、特定調停より減額は大きくなると考えられますが、手続が複雑で費用もかかります。 なお、特定調停や再生手続の中で決めた返済計画に基づく支払いができなくなると、強制執行されることになります。
 個人再生や特定調停の手続を進めてみたものの、やはり分割弁済はできないと判断された場合には、破産の手続に移行することになるでしょう。

(弁護士 中村直美 )

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