京都南法律事務所 法律相談Q&A

個人再生手続について

 多額の借金があります。個人再生手続という手続をすれば借金が減ると聞いたのですが、どのような手続なのですか?

 個人再生手続は、簡単にいうと借金の一定部分を3年間(場合によっては5年間)で分割払いすれば、残りの部分を免除してもらえるという制度です。どれだけ支払をすればいいのかは、元々の借金(債務)の金額によります(以下の表の通りです)。

再生手続き表

(但し、この表で計算した金額よりも、持っている財産をお金に換えた金額の方が多い場合には、その金額が支払う金額になります。また、給与所得者再生手続には、後述する例外があります。)  例えば、借金の金額が1000万円だとその20%ですから、200万円を3年間で分割払いすればいいのですが、300万円の価値のある自動車を持っている場合には、300万円の方が200万円よりも多いですから、300万円を3年間で分割払いすることになります。支払さえできれば、自動車を手放す必要はありません。


 破産手続と何が違うのですか?

 破産手続は、自分の財産を全てお金に換えても借金の支払いができない場合に、借金(債務)を0にしてもらう代わりに、持っている財産を全てお金に換えて貸し主(債権者)に配当するという手続です。ですから、例えば、土地や建物を持っている場合や高価な品物を持っている場合には、手放さなければなりません。一方、民事再生手続は、借金は0にはなりませんが、その代わり、分割払いさえきちんとできれば財産を手放さなくてよいのです。

 また、破産手続については、事情によっては借金(債務)を0にすること(免責)が認められない場合があります。例えば、借りたお金を全部ギャンブルにつぎ込んだであるとか、前にも破産したのに再度破産手続をするような場合(このような事情のことを「免責不許可事由」といいます)には、免責を認めてもらえないことがあります。一方、民事再生手続には、このような規定はありません。

 (1)手放したくない財産があるかどうか、(2)収入状況から考えて分割払いが本当にできるのかどうか、(3)免責不許可事由があるか否かが、破産手続を選ぶか民事再生手続を選ぶかのポイントになると思います。す。



 住宅ローンの支払を終えていない土地・建物があるのですが、個人再生手続をすると競売にかけられてしまうのではないですか?
 個人再生手続をする場合には、ある借金だけを個人再生手続にかけて、ある借金はいままで通りに支払うということは、原則できない事になっています。
 住宅ローンも借金ですから、この原則に従って、個人再生手続を使って一部しか支払わないということにすると、銀行などは支払ってもらえない部分を回収するために、担保にしている土地や建物を競売にかけると思います。しかし、これでは、せっかく個人再生手続をしても生活を再建することが難しくなります。そこで、個人再生手続では、特別に住宅ローンについてだけは約束通りに支払を行って、他の借金だけ一部分を分割払いするということができます。

 この特別扱いが受けられるのは住宅ローンだけですので、例えばローンが残っている自動車があってもこのような特別扱いは受けられません。また、一口に住宅ローンといっても、親子ローンになっていたり、連帯債務者になっていたりと契約関係が複雑な場合や、住宅ローンを組んでいる土地・建物に別の担保がついてる場合などには、特別扱いを受けられない場合があります。詳しくは事務所までご相談下さい。


 会社からの借金があります。これについては、約束通り支払わないと会社に居づらくなってしまうのですが・・・?
 上に書いたように、住宅ローン以外の借金を特別扱いすることはできません。どうしても会社への借金を約束通り支払いたい場合には、個人再生手続ではなく、任意整理手続をつかうことになります。


 小規模個人再生と給与所得者再生って?

 個人再生手続には、小規模個人再生手続と給与所得者再生手続の2つの手続があります。
 このうち、小規模個人再生手続は、分割払いができる見込みがある人であれば誰でも使うことができます。しかし、一方で、債権者が異議を出した場合には、借金の圧縮が認められないことがあります。消費者金融会社などが異議を出してくることはほとんどありませんが、必ず異議を出すという対応をする会社もありますから、注意が必要です。

 給与所得者再生手続は、給与などの定期的な収入があって、その金額の変動幅が小さいと見込まれる人であれば使う事ができます。給与所得者再生手続では、債権者が異議を申し立てることができませんので、小規模個人再生よりハードルが低いといえます。一方で、給与所得者再生手続の場合には、{(申立前2年間の収入−申立前2年間の所得税、住民税、社会保険料)÷2−必要最低限の生活費}×2、つまり、税抜き後の年収から必要最低限の生活費(世帯の構成毎に法律で決まっています)を引いた金額の2倍の金額が上に書いた表の金額より多い場合には、そちらの金額を分割払いしなければならないことになっています。
 (1)給与などの定期的な収入があるかどうか、(2)異議をだしそうな債権者がいるかどうか、(3)(給与所得者再生を選んだ場合に)最終的に支払をする金額がいくらになるかなどを総合的に判断して、どちらの手続を選ぶかを判断することになります。

(弁護士 毛利 崇)


戻る
home