やましろのくに 山背<やましろ>の国のよいこと・よいもの・よいところ…
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No.110 木造の小学校(旧加茂町)




 隣りあって恭仁京跡があり、木津川の流れが時代の声を伝えてくれるようにも感じられます。旧加茂町にある恭仁小学校です。
 少子化で全国的に小学校の統廃合が行われました。少子化の背景にある社会を見れば、冨を一部の人に集める経済システムに苦しむ働く人の姿が見えます。改革という名の改悪が横行し、子どもたちが自ら考え、自由に発想し、物事の本質を洞察する力としていくことが否定されました。いまの状態は周囲に合わせ、力に従わせる教育で教師も家庭も深い苦悩の中に未来を見いだせなかった結果とも言えます。人の歩み、社会のあり方その総てを決定するのは子どもたちの受ける教育にかかっています。木造の校舎は非常に恵まれた自然の中に位置して、「教育とは何か」を改めて問いかけているように感じます。ぬくもりのある木の生命そのものに包まれて、子どもたちは川の流れに悠久を、草や木や花に生命の営みを感じ取りながら育っていくことでしょう、みんなで共に学びその喜びを共有する学び舎であってほしいと思いました。

(切り絵と文・川越義夫)
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