やましろのくに 山背<やましろ>の国のよいこと・よいもの・よいところ…
切り絵とエッセイで紹介します
一覧へ

No.28 仕込み風景<昭和6年頃>(京都市伏見区)




 昔、人は野性の酵母を米に働かせ米の精を生んだ。小さな生きものたちの呼吸を知り、ざわめきを感じ、ひと雫の清澄な液を得るまで人は知恵を注ぎ、和をもって育み、慈しんだ。
  長い歳月、人々が肌で知り、心で伝えていこうとしたものに思いをはせると胸は熱くなります。そして今、現代の酒づくり―ほうろうのタンクや数値は、一見、人間を拒絶する冷たい機械のようにも思います。しかしそのなかで、人の知恵は、いっそう研ぎすまされていくのかもしれない、と思うのです。

 (資料提供 大倉酒造株式会社)(切り絵と文 川越 義夫)
作者プロフィール



home