山背＜やましろ＞の国のよいこと・よいもの・よいところ… 切り絵とエッセイで紹介します

No.32　寺田屋（京都市伏見区）

有名な寺田屋も、その日は小学生の写生のためのモデルをつとめようと、姿勢を崩さずに座っているようにみえました。 　動乱の時代を懸命に生きた男たちの会話がきこえてくるような戸障子の陰影。そして車を少し気にしながら正面から見ると、右から左に書かれた寺田屋の文字が、そして高く軒行燈の旅籠の文字が、いっそうその昔への想像をかきたててくれます。 　往来する船、物売りの声‥‥‥。 　そこには歴史とよぶにふさわしい時の流れがあることにやはり驚かされます。そしてその歴史が通りを歩く少女や主婦や写生の小学生たちによって、これからも確実に伝えられていくであろうということに心を動かされるのです。 （切り絵と文　川越　義夫） 作者プロフィール

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