やましろのくに 山背<やましろ>の国のよいこと・よいもの・よいところ…
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No.46 闇の奇祭 あがたまつり(宇治市)


 県(あがた)神社は京阪宇治新から歩いて約五分。
 堂々と伸びた松の木の枝が地面に影をつくって、境内は昼なおうす暗く感じられます。
 祭りの日、この境内と宇治の街を十万人の人の波が埋めます。江戸時代、すでに「暗闇の祭礼」の名で知られ、庶民の神様として広く信仰されてきました。この「あがた祭」の様子を地元の洛南タイムスはこのように伝えています。
 --暗闇にくっきりと浮かび上がる純白の梵天……あがた祭のクライマックス梵天渡御は…略…一切の灯火が禁じられ漆黒の闇と化した本町通りを「梵天」が駆けては戻る--
 昔は六月五日深夜から翌未明にかけて行われましたが、現在は午後一時から始まって終電に間に合うように配慮されているとのことです。
 「人気の神様」として商都の商売繁盛の祈願などから現在のような信仰が生まれました。信者と講社は地元京都はもちろん、大阪、奈良、兵庫、滋賀、三重と、広がりをもっています。どこも御輿のかつぎ手に困る当節、かつぎ手が昨年の百人から今年は百五十人に増えたといいますから人気のビックイベントなのですね。
 折から宇治は“新茶どき”で商売益々繁盛です。

(切り絵と文 川越義夫)
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