やましろのくに 山背<やましろ>の国のよいこと・よいもの・よいところ…
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No.48 長建寺門前(京都市伏見区)




 京阪中書島で降り、古い家並みに沿って東へ数分歩くと朱い壁が美しい長建寺の門前に出ます。「島の弁天さん」で知られる古い寺です。
 京・大阪の間が水運に頼っていた頃にぎわった中書島。門前には道をはさんで「古くこの位置から船が出た…」と書かれた標があります。河原に通じる小さな石段がわずかにそれかな?としのばせるのですが、河岸ががっちりとフロックで回められているのでとりすまして見えます。しかし船の往き交う様や声をかけ合う人々の姿を重ねて想像してみるのは楽しいものです。
 この日初詣の人にまじってザックを背負った若者が一人。彼も足を止め一礼して去って行きました。流れに沿ってほんの少し歩き、橋を渡るとすぐに「寺田屋」です。
 江戸時代には淀川を往復する廻船の守譲とまた音曲技芸の上達を願った人々の信仰を集めてきた長建寺。対岸の酒蔵とともに落ち着いた街並みを作っています。
(切り絵と文 川越義夫)
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