やましろのくに 山背<やましろ>の国のよいこと・よいもの・よいところ…
切り絵とエッセイで紹介します
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No.92 伏見城北堀公園から(京都市伏見区)




 4月に入ったばかりのこの日、紅梅と桜と椿、レンギョウにコブシなどがいっしょに咲いて城を囲む一帯は柔らかな光と優しい色に満ちていました。 城を見上げながら歩いてみるとここはまさしく要衝。南には宇治川が流れ、 巨椋の池が広がり足もとは京への街道です。伏見北掘公園からの眺めを絵にしました。伏見城の堀跡を京都市が公園に整備したところです。子ども達がボールを投げながら歓声をあげて走り回っていました。
 伏見城は指月城、秀吉の伏見城、徳川の伏見城と移り変わるようです。秀吉は伏見城に歿し、家康、秀忠、家光の三代は伏見城にて将軍宣下式を行っているといいます。この時代、伏見は日本の政治的中心地だったのです。いまその大部分は、桃山山陵となり、今の天守閣は、もとの位置とは異なるところ遊園地の中に再建されたものです。遊薗地--キャッスルランドは破綻しましたが、それは、歴史、文化、学問の京都とは何かを静かに考えよ、という時代の要請であると思いました。
(切り絵と文 川越義夫)
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