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同和奨学金住民裁判、誰一人返したことのない貸与制

■同和奨学金の返還金を支給する制度(自立促進援助金)
 京都市には貸与制の同和奨学金がありますが(平成19年度まで継続予定)、その奨学金を返還するお金を市が支給してくれる自立促進援助金という制度があります。平成14年度では2700名を対象に総額2億286万3585円が支給されており、同和奨学金の返還があと20数年続くはずですから、自立促進援助金も、同じく長期にわたって続く可能性があるものです。
 市民が住民監査請求を行ない、2002年12月に住民裁判が提起され、現在桝本京都市長と副市長を相手に支出金額の市への賠償を求めて裁判を続けています。

■無審査で市が全員の返還を肩代わり
 自立促進援助金制度の運用の最大の問題は、「奨学金を返還することが困難である」との支給要件が全く審査されずに同和奨学金受給者全員にもれなく支給が決定されていることです。同和奨学金を受給して学校を卒業して社会に出て、立派に生活されている方が多数おられることは間違いありません。しかし京都市長は、裁判の中で、同和奨学金を受給した者は皆「奨学金を返還することが困難」な者だと扱ってきており、初年度申請の際にも所得証明や源泉徴収票などの提出を求めることをしていない、2回目以降20年にわたって所得申告を義務づければ社会で自立した本人の立場に影響を与えかねないなどと答弁しています。

■手続ルールも無視
 運用の異常は、支給要件無視にあるだけではなく、要綱が定める申請、決定、決定通知、支給などの手続ルール無視でも際立っています。
 京都市長の裁判所での説明によると、初年度には、申請者に申請書を提出させているものの、毎年必要とされているはずの援助金申請行為が、2年目以降は全くなされていないのです。
 支給決定は、2千数百名の全員分について一括して出されており、支給決定書に「奨学金を返還することが困難」であると判断した具体的理由の記載が一切ありません。支給決定通知も出されていません。
 自立促進援助金の支給は、支給要件が審査されていないだけでなく、手続ルールを守らずに出されていることをもあわせて検討すれば、裁量権逸脱は明らかだといわなければなりません。

■監査委員も問題を指摘、それでも運用を改めず
 提訴に先立って行なわれた住民監査請求に対して、監査委員は請求を棄却したものの「公平性、平等性の確保の観点からは、客観的な証明に基き、支給の申請のあった1人1人について、適時に支給の要件を満たすか否かを判断していくことが望ましく、このことが支給要綱の規定の趣旨にも合致する」との意見を付記しました。この付記意見は、上記私達の主張に沿うものであり、私達の主張が正しいことを明らかにしています。
 ところが、上記監査結果の出された後である平成15年3月7日、平成14年度分の自立促進援助金の支給決定が、従前からのやりかたを何一つ変えないまま出されました。京都市はこれまでのやり方をそのままずっと続けるのでしょうか。

■今、乱脈な同和行政を正す時
 京都市は、同和奨学金を返還が不要であるかの説明をしてきたようです。責任者には責任を取ってもらわなければなりません。が、それだけではすまない大変な問題だということになります。しかし、もう問題の先送りは許されません。不公正、乱脈な同和行政を、勇気を奮って本気で正さねばならない時を迎えています。


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