コラム 杉山 潔志 
動き出した「働き方改革実現会議」に思う
 安倍首相は、2016年9月26日、臨時国会の所信表明演説で1億総活躍のため「働き方改革実行計画」を今年度内にまとめると述べ、翌27日、「働き方改革実現会議」の初会合を開きました。
 初会合の場で、安倍首相は同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善、長時間労働の是正などのテーマを議論すると述べましたが、国会で継続審議中のいわゆる残業代ゼロ法案には触れませんでした。
 残業代ゼロ法制を推進しながら、働き方改革と言っても説得力はありません。これまでにも、権力者や財界は、さまざまな"理屈"を付け、正当な賃金を支払わないで労働の成果を掠め取りました。アジア太平洋戦争の時代には「働くことを『仕事する』とも云ひますが、・・・仕は社会奉仕の仕であり、事は臣事の事であって君に仕へることであります。即ち仕事とは奉公であるわけです。働くことが奉公であるならば、金銭のためでは断じてない筈です。」(上野摠一「み国のために働く小産業戦士の道しるべ」・黒髪社・1943年)などと無償労働を推進しました。
 美しい日本を取り戻すという安倍首相が、1億総活躍、働き方改革と提言しても、文字どおりには受け取れないと感じるのは私だけでしょうか。
 
2016年11月