コラム 杉山 潔志 
「平成」から「令和」へ

 本年は、関西地方では3月1日に春一番が吹き、3月6 日に啓蟄を迎えました。春には桜が咲き、若葉が芽吹き、 動物も新しい命を誕生させる準備をします。4月には入学 式や入社式が行われ、人々の営みも新しい年度を迎え、私 たちに新たな期待と決意をもたらします。
 今上天皇は4月30日に退位し、5月1日に徳仁皇太子 が新天皇に即位します。元号は「平成」から「令和」とな ります。春に新天皇が即位するのは、新しい時代の到来と それへの国民の期待感を意図したものでしょうか。
 改元の根拠となる元号法は1条だけで、1項で「元号は、 政令で定める。」、2項で「元号は、皇位の承継があった場 合に限り改める。」と定めています。公文書では元号が使 用されていますが、法案審議の際には、元号の使用を国民 に強制するものではないとの政府答弁がなされています。
 元号は、皇帝が時をも支配するという思想に基づき、中 国の前漢の武帝の治世に使用されるようになったもので す。この考え方がもたらされ、日本でも元号が用いられる ようになりました。
 日時や年月に共通の物指しがないと社会は成り立ちませ んが、皇帝による時の支配という思想は民主主義社会には そぐいません。そのことを頭に置いて新しい元号を迎えた いものです。

2019年5月