コラム 吉田 眞佐子 
コロナ禍とジェンダー問題
 コロナ禍の中で、2回目の春を迎えました。
 今年2月の森喜朗元首相の「女性は話が長い」「わきまえた女性」等の発言により、ジェンダー問題の議論が活発化しています。
 世界経済フォーラム(WEF)による「ジェンダーギャップ指数2021」では、日本は156カ国中120位です。経済的機会(収入、管理職ポジション、専門職・技術職の数)の格差、政治参画の格差が特に大きいです。
 日本は「夫婦同氏」制度であり、96%は「夫の氏」を夫婦の氏としています。戦後廃止された「家制度」の意識は、今なお根強く残っており、妻を付属物的に扱う人、夫を「主人」と呼ぶ人は少なくありません。男尊女卑の意識は、最も身近な家庭の人間関係が出発点と感じることがあります。
 事実婚夫婦が別姓の婚姻届の受理を自治体側に求める事件について、最高裁判所大法廷で審理されることになりました。夫婦ともに戸籍の姓を変更することによる不利益を感じる人が増加しており、世論調査でも夫婦「同姓」「別姓」の選択制を支持する声が多数派です。
 選択的夫婦別姓制度の実現は、現実面のみならず心理面でも、ジェンダー問題における大きな変革になると思います。

2021年5月