コラム 吉田 眞佐子 
【私の本棚】グラッサー博士の選択理論 ・・・幸せな人間関係を築くために・・・
グラッサー博士の選択理論

 アメリカの精神科医グラッサー博士の唱えた「選択理論」は、すべての行動は自らの選択であるとする心理学です。
 人は、主体的に行動を選択し、他者と良好な人間関係を維持することにより、自由と幸せを感じます。他の人から無理に強制されたり、罰、報奨、あやつる、いばる、動機づける、批判する、責める、文句を言う、ガミガミ言う、うるさく言う、比較するなどされ、これが続くと、その人を自分の上質と考える世界から排除したいと考えます。夫婦なら離婚、親友なら絶交となります。これに対し、思いやりを示し、傾聴し、支持し、励まし、信頼し、受容し、歓迎し、尊敬し、違いを交渉することにより、良い人間関係が築かれます。具体的に、夫婦、親子、上司と部下、教師と生徒の関係について述べています。
 グラッサー博士は、「戦争は、ほんの一握りの指導者の信じるものを他の人々にも信じさせようとする努力から始まる」とし、本気で脅迫すれば、ほとんどの人に強制できるが、「その行動が続くのは、強制がある間だけ」と述べます。
 自分が変えられるのは自分だけであり、相手の主体性と行動選択を尊重し、意見が異なるときは違いをすり合わせて解決していくことが、身近な人間関係においても、あるいは、より大きな組織や国家の関係でも求められています。

2022年5月