コラム 吉田 眞佐子 
『とても繊細な人(HSP)』『とても繊細な子(HSC)』

 最近、面談中に「私、HSPなのです」と言われることが時々あります。
 HSPとは、「HighlySensitivePerson」の略称で、直訳すると「とても繊細な人」。アメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン博士が1996年に提唱したものです。
 HSPは、「物事を深く考える」「刺激を強く受けやすい」「感情面で反応しやすく共感しやすい」「かすかな刺激に対する感受性が強い」という4つの特徴があります。生まれつきの性質であり、全人口の15%~20%、つまり約5人に1人がHSPと考えられています。
 HSPは、他者の気持ちを汲み取りすぎて、相手ではなく自分に原因を求めることが多く、自己肯定感が低くなりがちであり、また、細かいところまで注意が行き届き、疲労を感じやすい傾向があるとされています。
 子どもは、HSC(HighlySensitiveChild)と呼ばれ、人が大勢集まる空間自体がストレスを感じやすかったり、他の子が先生に怒られる場面を見て強い苦痛を感じたりします。HSCの子どもにとって、学校に行くことは大変な労力を要する場合が少なくないのです。すべての子どもの特性に配慮した学校づくりが求められています。
 HSPは、「物事を深く考えて探求心が強い」という特徴から、研究職など物事を突き詰めていく仕事が向いていたり、「感情面で反応しやすく共感しやすい」という特徴から、介護関係、医療関係、教職関係、カウンセラーなど人と関わる仕事が向いていたりします。簡単なチェックリストはネット上で紹介されています。HSPの特性を理解すれば、それを生かした人生の選択が可能になります。

2023年5月