京都南法律事務所 新法・改正法の紹介

子どもの貧困対策の推進に関する法律(平成25年6月26日法律第64号・2014年1月17日施行)
(全会一致で可決・成立)
 昨年6月に、全会一致で成立しました。「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子どもの貧困対策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、及び子どもの貧困対策の基本となる事項を定めることにより、子どもの貧困対策を総合的に推進すること」(第1条)を目的としたものであり、それ自体は誰にとっても異論がないため、全会一致だったのだと思われます。

(子どもの貧困の実態)
 日本の子どもの「貧困」の実態は、下記の参考の新書(2冊)に詳しく記載されていますが、母子家庭の貧困率がOECD諸国で最悪であること、階層間の格差の世代承継が強まっている(貧困の連鎖)ことなど、私自身、仕事をしている中で感じることです。
 また、筆者は、子どもの成長に大きな影響のある乳幼児期の貧困の「防波堤」として、保育所の役割を強調していますが、そうであれば、今進められている保育所攻撃の動きは、成立した法律の趣旨に逆行するものです。

(実効性のある法律に)
 子どもの貧困対策を総合的に推進するために、政府は「大綱」定め(8条)、都道府県は大綱を勘案して「計画」を定めるよう努める(9条)ことになっています。
 大綱がどのようなものになるかは、まだ明らかではありません。どのような内容の「大綱」となるかによって、法律に魂が入るかどうかが決まります。また、住民との関係で具体的な貧困対策は、自治体を通じて行われる部分が大半であり、その意味で、都道府県による「計画」はきっちりと作られることが必要です。
 実効性のある法律にするため、国や自治体に対して、声を上げていくことが必要です。

(参考)
1 概要、法律、相対的貧困率の推移、貧困率の国際比較(厚生労働省HPより)
  http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/kaigi/dl/130725-02.pdf
2 書籍
  ・子どもの貧困−日本の不公平を考える 阿部彩・岩波新書1157
  ・子どもの貧困II−解決策を考える 同・岩波新書 1467
情報更新:2014年3月
 
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