面接交渉権
2011年7月7日
離婚する際、あるいはその後、財産分与・慰謝料・養育費という金銭問題とともに、未成年の子がいる場合には、親権者の指定と面接交渉権の問題が出てくる。面接交渉権とは、離婚後、子と一緒に暮らさない親が子と会う権利である。激しく争われることが少なくない。
しかし、家庭裁判所のスタンスは、かなりはっきりしている。
まず、面接交渉権を、子の権利として考えている。親の都合で離婚がなされ、一方の親と一緒に暮らせなくなっても、親子の関係に何らの影響はない。そして、親から大切に思われているということ自体が、子にとって重要である。その最も素直で自然な形は「親と会うこと」であると、家庭裁判所は考えている。
従って、別に住んでいる親が、不貞をして出ていった親であっても、養育費を送ってこない親であっても、また、かつて他方の親や子に暴力を振ったり暴言を吐いたことがある親であっても、その程度にもよるが、原則として「子に会わせるべきだ」というところから出発して考えている。
子と暮らしている親の立場では、「相手方の顔も見たくない」「養育費も支払わないのに」という声はよく分るが、家庭裁判所がこうしたスタンスで面接交渉の事件を処理していることは、念頭に置いておくべきであろう。
弁護士 井関佳法