成年後見制度の利用をお考えの場合の留意点
認知症や成年後見という言葉を身近に聞かれることが増えていると思います。ご親族などの認知症などが進行し、成年後見人を付ける事を検討されることがあるかも知れません。
成年後見制度とは、物事を判断する能力が十分ではない方の権利を守る援助者として成年後見人等を選んで,ご本人の財産を維持管理し守るための制度です。もちろん、重要で有効な制度であることは間違いありません。
しかし、制度の仕組みが十分理解されておらず、成年後見人が選ばれた後になって、こんなはずではなかったと困惑される場合もあるかも知れません。
(1) まず、ご家族やご親族が成年後見人に選任されるとは限りません。適当と考える候補者を書いて出すことは出来ますが、誰を成年後見人に選任するかを決めるのは家庭裁判所です。ご親族以外の、例えば弁護士や司法書士など専門職が後見人に選任される場合もあります。この家裁の決定に不服申立は認められていません。
(2) 次に、成年後見人が一旦選任されてしまうと、「やっぱり成年後見人はいらない」とか、「成年後見はやめてほしい」と言うことは出来ないとお考えください(ご本人の認知症が良くなったりしない限り)。
(3) そして、ご本人の財産は成年後見人が引渡しを受けて管理することになります。施設等への支払いは成年後見人から支払われますし、ご本人が必用なお金も成年後見人からもらうことになります。判断能力が十分でない方の財産を守るためではありますが、厳格で窮屈な制度でもあります。
裁判所が作成している詳しいパンフレットがありますので、よく読まれることをお勧めします。