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相続法が改正されました(2)

2019年2月18日

婚姻期間20年以上の配偶者が居住用土地や建物の贈与を受けていた場合

*今回は、民法の相続の「特別受益」という制度の改正について説明します。

 「特別受益」とは、相続人が、被相続人から生前に受け取った財産で住宅資金や生計の資本となる金銭等(遺贈)、 また、相続開始後に遺言遺により受けとった財産(贈与)など、特別に利益を受けたものをいいます。
 ある相続人が特別受益を受けている場合、遺産分割に際して、亡くなった時に残っていた財産(遺産)だけを対象に遺産分割すると、 特別受益を受けていた人が沢山もらうこととなり不公平となります。 そこで、遺産に特別受益をプラスして、法定相続分で分けることとなっています。 特別受益を受けていた相続人は特別受益でもらった分の不足分だけもらうこととして、公平を図ろうとしているのです。 但し、被相続人が、特別受益をプラスせずに法定相続分で分けるよう意思表示していれば、その意思に従うべきこととされており(持ち戻し免除の意思表示と言います)、 被相続人の意思を尊重することとしています。

 今回の改正では、婚姻期間が20年を超える夫婦の一方が、他方に居住用の土地や建物を遺贈や贈与した場合は、 持ち戻し免除の意思表示を推定することになりました。 自宅の贈与や遺贈を受けていても(特別受益があっても)、原則として、特別受益をプラスせず残った預貯金などの遺産だけを対象に法定相続分で分けることになりました。 長年連れ添った連れ合いに自宅を残すのは、連れ合いが安心して生活できることを目的としていて、持ち戻し免除の意思が推定できると考えたのです。 配偶者を保護して、住むところも生活費も保障しようとする改正がなされたのです。

弁護士 井関佳法

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