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無投票当選増加・投票率低下の2019年統一地方選挙

2019年5月12日

 2019年統一地方選挙は、全国的に無投票当選者が増え、投票率も低下傾向が続きました。京都では、前半戦の京都府会議員選挙では、無投票当選が過去最多の5選挙区13人、投票率は過去最低の41.75%となり、全選挙区で選挙のあった京都市会議員選挙では過去最低の38.06%の投票率でした。後半戦の3市長選挙の投票率は、議員選挙もあった京田辺市、木津川市で前回を上回ったものの、向日市は過去最低、8市・町会議員選挙は和束町で無投票、京田辺市以外の6議会選挙で過去最低の投票率でした。
 地方自治は民主主義の学校である——この言葉は、イギリスの法学者で下院議員などを歴任したジェームズ・ブライスの言葉です。身近な問題を扱う地方自治への参加を通じて民主主義の担い手としての能力を身に付けられるという意味です。日本国憲法は、大日本帝国憲法にはなかった地方自治に関する規定を置き、地方自治を憲法上の制度として位置付けています。
 立候補者減少や投票率低下の背景には、「誰がなっても政治は変わらない」、「信頼できる政党がない」などの有権者意識の広がりがあるようです。共産党以外がオール与党となって議会が地方政治をチェックできてない、政党が住民要求に応える政策を提示できてない、などに原因がありそうです。
 暴言で辞任した泉市長が無投票当選した明石市では、2人目以降の子どもの保育料無料化、子ども食堂の小学校区ごとの設置、不払い養育費の立替払いなどユニークな子育て支援を行っており、子育て世代の流入で減少人口がV字回復しています。
 首長と議員が住民要求をくみ上げ、“住民の福祉の増進を図ることを基本”(地方自治法第1条の2第1項)として政策能力を鍛え、議会を活性化し、それを住民にアピールしていく必要があると思われます。

弁護士 杉山潔志

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