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動物と人間の間

2019年10月13日

 2019年の6月に動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)が、全会一致で改正されました。主な改正点は、動物虐待罪の厳罰化(1年以内に施行)と犬猫へのマイクロチップ装着の義務化(3年以内に施行)です。
 みだりに愛護動物を殺傷した時の罰則が、「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」から「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」に引き上げられました。当初、この種の法律ができた時(1973年)の罰則は、「3万円以下の罰金又は科料」でしたので隔世の感があります。

 少し話がそれますが、近時、ペットが交通事故などで死亡した場合に慰謝料が認められるようになっています。
 動物に対する扱いが、段々、人間に近づいているようです。
 犬猫へのマイクロチップ装着義務の対象は販売業者だけで、一般の飼い主については努力義務となっています。ペットが迷子になったり(すぐに飼い主の元に戻ることができる)、遺棄されたり(遺棄しにくくなる)した場合に役立つというものです。近い将来、すべての犬猫に適用されることになる流れです。
 迷子の防止、遺棄の防止という意味で言えば、人間へのマイクロチップ装着も「便利」なものであり、動物と人間の垣根が低くなる中、近い将来に現実化するのでしょうか。
 人間に強制的にマイクロチップが装着されるということを考えた場合、強い違和感を覚えます。ずっと、誰かに見張られている、自由がないという感じです。
 「いぬのきもち」「ねこのきもち」になった場合、同じように感じるのではないでしょうか。その意味で、やはり、「動物は人間とは違う」という扱い(厳罰化と矛盾)なのだと思います。
 私には、よくわからない、「全会一致」の改正です。

弁護士 中尾 誠

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