2020年6月からパワハラ防止対策が強化されました!
~労災認定基準にも新項目として追加〜
2020年7月10日
【 職場におけるパワーハラスメント防止措置の義務化 】
改正労働施策総合推進法が2020年6月1日に施行され、パワハラ防止措置が事業主の義務となりました。中小事業主の義務化は2022年4月1日からであり、それまでは努力義務ですが、早急な対応が必要です。
職場におけるパワハラは、労働者に精神的打撃を与え、ストレスとなり、労働環境の悪化や労働生産性低下の原因となります。事業主が適切な対応をしない等の場合は、労働者の退職や精神疾患による休職など重大な結果につながることもあります。パワハラ被害を受けて精神疾患となり休職あるいは退職に追い込まれ、あるいは自死した労働者について労働災害と認定された事件、さらには事業主に対する安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求事件が報道されています。
【 パワーハラスメントとは 】
同法に規定する職場における「パワハラ」とは、
- ①優越的な関係を背景とした言動であって
- ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
- ③労働者の就業環境が害されるものとされています。
指針では、具体例として、
- ①身体的な攻撃(暴行・傷害)
- ②精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
- ③人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
- ④過大な要求
- ⑤過小な要求
- ⑥個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
【 事業主の責務 】
事業主は、パワハラを禁止する旨の方針を明確化して周知・啓発をすること、行為者に厳正に対処することを就業規則等に明記し周知・啓発すること、相談の窓口・適切対応のための体制を整備すること、ケース発生後は迅速かつ適切な対応をすること等が法律上の義務として求められます。相談したこと、事実を述べたことを理由とする不利益取扱いが法律上禁止されます。
また、精神障害の労災認定基準に「パワハラ」が新項目として追加されました。
弁護士 吉田眞佐子