非正規の格差是正を求める裁判に対して、最高裁で判決が続いて出されました
◆2020年10月13日の判決は、賞与と退職金について、非正規社員への不支給を容認しました。当該会社の賞与や退職金には有能な人材定着を図る目的があり、正社員にだけ支給しても不合理ではないとしました。
◆2020年10月15日の判決は、扶養手当・年末年始勤務手当・夏期冬期休暇・有給の病気休暇・祝日給について、非正規の格差是正を命じました。原告らは、継続的に勤務を続けてきた労働者であり、これら手当や制度の性質や目的は原告らにも妥当するとして、格差は不合理だと判断しました。
◆いずれの判決も、その制度の性格や目的に照らして、異なる扱いをすることに合理性を認めることができるか、という考え方で判断されています。
この点、賞与と退職金の制度目的は人材定着目的だけなのか疑問があり、13日判決には、格差是正に背を向けたものとして批判が必要でしょう。
ただ、13日判決も賞与や退職金の不支給一般を容認したものではありません。賞与や退職金の不支給が不合理となる場合があるとも明言しています。最高裁の考え方によっても、賞与や退職金について格差是正を命じる判決が出る余地があります。
さらに、法律が改正され、厚労省から「同一賃金同一労働ガイドライン」が出されており、2020年4月(中小企業は2021年4月)から施行されています。そこでは、例えば賞与について「会社への貢献の違いに応じて(非正規にも)支給しなければならない」と定められているなど、使える内容も盛り込まれています。
非正規の格差是正は、今、全力で取り組まなければならない重要な課題です。是非、ご相談ください。