相続登記などが義務化されます
~所有者不明土地の解消のための改正法~
所有者不明の不動産が社会問題となっています。土地建物などの不動産は重要な財産であり,不動産登記簿にその内容・権利関係が記録され,公示されています。ところが,相続登記は義務ではないため,亡くなった人名義の不動産が多数存在し,また,遺産分割をしないまま相続が繰り返されて共有者がねずみ算式に増加していくケースも少なくありません。所有者不明土地は,公共工事や復興事業の妨げになったり,管理がなされず,近隣への悪影響の問題もあります。
本年4月28日に,所有者不明土地の解消に向けての民法等改正法が公布されました。原則として公布後2年以内に施行され,相続登記の義務化関係の改正は公布後3年以内,住所変更登記の義務化関係の改正は公布後5年以内の施行です。
亡くなった人名義の不動産について,相続人は,自分が相続したことを知った時から3年以内に相続登記を申請する義務があり,正当な理由なくこれを怠ると10万円以下の過料の制裁となります。遺産分割協議がまとまらず相続登記ができない場合は,相続人が単独で申告登記をすることができますが,遺産分割協議がまとまれば3年以内に登記する必要があります。住所氏名等の変更については,変更時から2年以内の登記が義務化されます。
被相続人から生前に財産を多くもらっていた等の「特別受益」及び被相続人の財産維持・増加への特別の貢献をした等の「寄与分」の規定は,相続開始から10年を経過した遺産分割には,適用なしとなります。
相続した土地であること,建物がないこと,土壌汚染や権利関係の争いがない等の一定の要件を満たした場合,法務局への承認申請により国庫に帰属させることが可能となります。審査手数料と10年分の土地管理費相当額の負担金の納付が必要です。