家事調停と電話会議,調停に代わる審判
2022年1月6日
【家事調停と電話会議】
離婚や遺産分割など家庭に関する事件について,家庭裁判所において調停を申し立てたり,その相手方になる場合があります。
調停は,毎回の期日に当事者本人あるいは代理人の出席が原則とされています。しかし,遠隔地居住,身体的理由などにより,調停期日の出席が困難な場合があります。
家事事件手続法は,遠隔地居住その他相当と認めるときは,電話会議による方法で調停手続を行うことができるとの規定があります。
電話会議の利用を希望する場合は,その理由,電話番号,電話の設置場所(携帯電話の場合には,予定所在場所)などを記載した申出書を裁判所に提出し,裁判所が電話会議を認めるかどうかを決めます。なお,電話会議の際には,他の人を同じ部屋に入れないなどの電話会議のルールを守ることが求められます。
電話会議は,弁護士が代理人に就いている場合は,よく利用されています。当事者本人の場合でも,理由に相当性があれば認められると思われます。各家庭裁判所にご相談ください。
なお,離婚や離縁など身分関係にかかわる調停においては,成立の際に,当事者本人が家庭裁判所に行く必要があります。それ以外の調停は,電話会議の方法で成立可能です。
【調停に代わる審判】
離婚や離縁の調停において,当事者双方が全ての条件について合意しており,当事者の出頭が困難な場合には,「調停に代わる審判」を行うことにより,離婚や離縁を成立させることが可能です。調停に代わる審判は,送達後2週間以内に当事者が異議を出さなければ確定します。
弁護士 吉田眞佐子