遺言のすすめ
2023年7月4日
遺言書を作成するかどうかは、その人の生き方(死に方)に関わるものであり、一概に、作成するべきとは言えないものです。
◆こんな場合は、遺言書作成の検討を
①在日の外国人の方
相続の場合、相続人の特定のため、戸籍謄本(身分関係を示す書類)を取り寄せることが必要です。亡くなられた方が、在日の外国人の方の場合は、それらの書類を国外から取り寄せなければならないので、手続きが大変です。是非、遺言書作成を検討してください。
②子供のいない夫婦
例えば、夫が亡くなって、その財産をすべて妻に渡したいと思っても、夫に兄弟姉妹がいる場合は、その人たちも相続人となります。また、兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その兄弟姉妹の子どもも相続人となります。妻とそれらの兄弟の関係が疎遠な場合は、相続の協議をすることが大変になります。
相続人が妻(配偶者)と夫の兄弟姉妹の場合は、兄弟姉妹には遺留分はありませんので、遺言書通りに財産を配分することが出来ます。
③特定の財産を受け継がせたい人がいる場合
その人が相続人でない場合は、遺言書がなければ、その人に財産を渡すことは出来ません(特別寄与者の制度はありますが)。また、相続人の場合でも、遺言の指定が優先しますので、有効(遺留分の問題は残りますが)です。
◆作成の時期
遺言書作成には、いつか作成しようと思っていても、突然、死が訪れ、遺言書の作成ができない場合もあります。また、遺言をする時点で、「遺言の内容」を判断する能力がなければ、その遺言書は無効となります。よって、遺言書の作成を検討している方は、そうなる前に(と言っても、自分で予測が出来ないことが多いですが)、行動に移すことが必要です。
弁護士 中尾 誠