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高齢者の財産管理

2023年12月7日

 老後のために蓄えをしていても、身体が不自由になったり、判断能力が衰えたりした場合、ご自身のために有効に使えないという事態になることがあります。

【法定後見制度の功罪】

 判断能力が十分ではない高齢者の面倒をみると称して、その高齢者の預金通帳を預かり「勝手」に使ってしまうというケースを耳にします。そのような場合、家庭裁判所に成年後見人(弁護士など専門職の第三者や親族)を選任してもらい、その成年後見人が高齢者の財産管理をすることが有効です。
 しかし、一旦、成年後見人が選任されてしまえば、被後見人が亡くなられるまで、その関係は続き、専門職後見人の場合は月々の報酬が発生します。

【任意後見制度の功罪】

 財産管理を自分の信頼する人に任せたいと思っても、法定後見制度では、高齢者の方が自由に「成年後見人」を選ぶことは出来ません。
 任意後見制度は、そのための制度です。高齢者が本人の判断能力がある時に、あらかじめ、任意後見人となる人を決めておくことができます。但し、そのためには、任意後見契約を公正証書で作ることが必要です。
 しかし、実際に効力が発効した時、本人が選んだ任意後見人のほかに、必ず、後見監督人が選任されますので、その後見監督人に対しても報酬が発生することになります。

【財産管理契約について】

 裁判所や公証人役場に行かなくても、高齢者本人に判断能力があれば、信頼できる人に自分の財産の管理を任す契約を結び、預金の引き出しなどをしてもらうことは出来ます。
 しかし、私的な契約ですので、大きなお金を出す時や、本人に判断能力がなくなった時などには、契約通りにいかない場合(例えば、金融機関が本人の同行を求める)もありますので、注意が必要です。

弁護士 中尾 誠

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