自然災害と火災保険
~「無料点検」「保険で直せる」と勧誘する業者とのトラブルにご注意を~
2025年10月4日
*自然災害の多発と火災保険、地震保険
地球温暖化により世界の平均気温が上昇を続け、海面水温も上昇し、台風の勢力が増しています。また、ゲリラ豪雨や線状降水帯により、河川の氾濫や市街地の排水機能が追い付かずに起こる都市型洪水(内水氾濫)による被害が多発しています。
そのため、自然災害による火災保険金の支払いが増加しています。また、地震保険は火災保険の保険金額の30~50%の範囲内の設定ですが、2023年度の地震保険付帯率は69.7%であり年々増加しています。
火災保険等の契約内容について、改めて確認をされるとよいでしょう。
*火災保険金支払いと「復旧義務」
近年、自然災害の発生を利用し、「無料点検する」「火災保険で直せる」と勧誘し、事故偽装や過大請求、高額な保険請求代行手数料を請求する業者等によるトラブルが発生しています。
その対策として、2022年10月1日より「復旧義務」の規定が新設されました。
同規定は、保険対象である建物等に損害が発生した場合、原則として損害発生日から2年以内にその保険対象を復旧しなければならず、復旧を行わない場合は、保険金を支払わないとされます。ただし、復旧しないことに合理的な理由がある場合は例外として保険金が支払われます。「全焼・全壊」に該当する場合や、再築せずに転居する場合その他経済的合理性がある場合等です。詳細は、各保険会社に確認してください。
建物の修理や点検は地域の信頼できる専門業者に相談すること、保険のことは契約している保険会社に直接連絡して確認することをお勧めします。
弁護士 吉田眞佐子