やましろのくに 山背<やましろ>の国のよいこと・よいもの・よいところ…
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No.116 浄瑠璃寺と馬酔木(あしび)



 絵は石仏の里、当尾の浄瑠璃寺です。池の東、薬師如来をおまつりする三重の塔の下から西の九体の阿弥陀如来を安置する本堂を望むところです。浄瑠璃寺の馬酔木というと印象深いのは門前の大きな列植ですが、馬酔木ばかりになってしまいそうなので池と本堂のあるこの情景にしました。
 3月、芽吹きのときを前にお寺には人影もまばら、池が空を映して静まりかえっています。池のむこうの阿弥陀如来とともに動きを秘めたその風景は、虚飾を排した白い花は、なにを告げようとしているのでしょうか。
 いまの時代のこの状況に流されてはならぬと…そんなことを想います。
 「今だけ・金だけ・自分だけ」これは特に原発とその周辺のあり方をさしています。他にもこれに類することはいくつもあり、政治としてのこのあり方は余りに情けなく、これで未来がひらかれるとは思えません。
 送り出す薬師如来、迎え入れる阿弥陀如来、そのあいだの池のほとりに馬酔木の花が僅かに揺れています。
 
(切り絵と文・川越 義夫)
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