やましろのくに 山背<やましろ>の国のよいこと・よいもの・よいところ…
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No.36 猿丸神社(綴喜郡宇治田原町)



 お茶と‘ころ柿’で知られる宇治田原町から滋賀県と境を接するあたり、峠の近くの猿丸神社を訪ねました。
 ゆるやかにそしてはるかに連なる静かな森の中の小さな社は、「奥山にもみじふみわけなく鹿の…」という百人一首の歌で知られる猿丸太夫を祀る神社として知られています。また“コブとり”の霊験あらたかとのことで、 現代のコブ―“ガン封じ”の信仰をあつめています。毎月十三日の例祭には遠く九州からまでバスで大勢の人がやってくるとのことでした。
 茶畑のなだらかなカーブ、点在する朱いすだれのようなころ柿の木、木の間をすかしてみれば小さなけものたちがこちらの方をのぞいていてくれるような…そんな牧歌的な風景の中に佇めば緊張する心も解きほぐされ、現代人の誰もが持つであろう心のガンも、すっかり消えてしまうような気がします。
 太夫隠棲の地や墓といわれるものまであったとのことですが、現在それをしのばせるものはなにもありません。

(切り絵と文 川越 義夫)
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