やましろのくに 山背<やましろ>の国のよいこと・よいもの・よいところ…
切り絵とエッセイで紹介します
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No.40 伏見人形の工房(京都市伏見区)




 春から夏にかけて型どられ、干され、焼きあげられた人形たち、静かな冬の日は彩色でした。
 伏見人形一会国にある土人形の先祖をたどればみんなこの伏見人形に行きつくとのことです。誰でも幼い頃から幾度となく親しんだ童子や馬や鳥などの動物たち。その優しい姿から、なんとなく素朴な線だと思っていたのですが、実はきわめて繊細な線であったことに気づかされ驚きました。そして一見無造作におかれていく色一特徴である赤や黄の原色が白い土の肌に置かれたとたんに人形が話し出すように思えるのも楽しいことです。「ほほえみ」というのは人の心の最も崇高なところと言われますが、微笑の使者、 人形と向き合う匠の筆は、楽しく語り合っているようでもあり、歌っているようでもありました。(伏見人形の歴史は遠く室町時代にさかのぼリ2,000あまりのデザインがいまに伝えられています。)

 (取材協力/6代目丹嘉・大西重太郎氏)(切り絵と文 川越 義夫)
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